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厚労省の糖尿病対策を歓迎
日本の国民病、糖尿病の患者が急増中だという。対策強化へ、厚生労働省は一人ひとりの体質に応じた予防法、治療法の開発に乗り出すことを決めた。
一般にどのような病気であれ、患者の体質や体調で、治療法や対応は異なってくる。状態の異なる人間に同じ治療を施すのでは、適切な医療とは言い難い。特に東洋医学にはこの思想が強い。その意味では、今回の決定、遅きに失した感もなくはないが、まずは厚労省の挑戦を歓迎したい。
史上最悪を記録した昨年一年間の自殺者三万四千四百二十七人中、実に44.8%は健康問題が動機になっていた。増え続ける自殺防止対策に通じる点でも、意義深い決定と言っていい。
糖尿病は、体内ホルモンであるインスリンが不足したり、働きが妨害されたりして、血中ブドウ糖濃度が高まる病気。万病のもとといわれ、根治治療法がなく、いったん発症すると、一生の付き合いとなる。
引き金になるのは、過食や運動不足などの生活習慣と遺伝的要因。神経や腎臓の障害、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)、失明につながる網膜症など、怖い合併症を誘発する危険性がある。
患者の大半は生活習慣の影響で発症、近年、患者の若年化も問題になっている。
日本人は欧米人に比べ、糖尿病になりやすい。国内で糖尿病が強く疑われる人は約七百四十万人、可能性を否定できない予備軍を含めると、約千六百二十万人に上る。死亡者は年間約十万人、合併症で透析が必要になる人は年間約一万人いる。
糖尿病は通常、次の三段階に対応法が分類される。
一次予防(健康人、糖尿病予備軍とされる境界型患者)−適正な食事、適度の運動に気を使う。
二次予防(糖尿病患者)−合併症を起こさないよう、インスリンの自己注射、カロリー制限厳守の食事制限、ウオーキングなどの運動療法を併用し、血糖値を正常値に近づける。
三次予防(合併症まで進んだ糖尿病患者)−より深刻な臓器障害への悪化防止のため、医師による治療、血糖コントロールを厳格に行う。
糖尿病との闘いは生涯続く。最大のポイントは患者の自己管理。合併症予防のためには、日々の生活で血糖値をきちんとコントロールする以外、方法はない。
患者は孤独でやりきれない思いを抱きやすい。糖尿病との闘いは、患者個人に任せるのではなく、家族も糖尿病に関心を持ち、一緒に勉強し、よく話し合うなど、支援することが最重要という。
厚労省は「日本人と欧米人には体格や遺伝的要因など多くの点に違いがある。それなのに、欧米の臨床研究に基づく欧米流の医療が日本の糖尿病患者にも有効と考えられがちだった」と、これまでの対応の誤りを指摘する。
その反省から、厚労省は国内で大規模な臨床研究態勢を整え、日本人に最も有効な対策を確立する研究が不可欠と判断した。同省は「日本人に適した予防・治療法を開発し、合併症による後遺症や死亡を減らすのが目標」と意気込んでいる。
来年度研究事業の重点課題として、各地の大学や病院が参加する大規模な臨床研究を進める計画を立てている。
具体的には(1)家族に患者がいるなど、糖尿病になりやすい体質の人を対象に、それぞれに適した予防法(2)発症の危険性が高い人の早期診断(3)ゲノム(全遺伝情報)解析を利用した根本的治療法(4)腎臓障害、脳卒中、心筋梗塞など合併症の予防−などを研究課題にするという。
成果が上がるよう祈りたい。
出展:東奥日報 2004.08.04社説より